財産の1つである不動産の価値を評価

不動産鑑定士は、土地や建物などの不動産が持つ経済的な価値を鑑定する国家資格である。

一般の人が、不動産鑑定士に直接業務を依頼することはあまり多くないため、この資格に対する社会的な認知度は低くなっている。しかし、大事な財産の1つである不動産の価値を適正に評価するという、非常に重要な任務を担っている職業だ。

不動産の鑑定評価業務を行うためには、必ず不動産鑑定士の資格を有していることが求められることになっている。

法律上、不動産の鑑定評価は不動産鑑定士の独占業務とされているためだ。したがって、無資格者が不動産の鑑定評価を行った場合には、刑事罰が科せられることになっている。

この資格を取得するためには、国土交通省土地鑑定委員会が毎年1回実施している国家試験を受験して、それに合格しなくてはならないことになっている。

例年、5月中旬頃に短答式による1次試験が実施され、その試験に合格した者が、8月に実施される論文式試験を受験できることになっている。この論文式試験は、3日間に分けて合計12時間実施されるようになっており、かなり過酷な試験として知られている。

ただし、この試験に合格することができたとしても、すぐに不動産鑑定士の業務を取り扱えるようになるわけではない。合格後、国土交通大臣が認定した実務修習機関において一定期間の修習を受け、修了考査に合格する必要がある。

この実務修習には、1年コース、2年コース、3年コースの3種類があり、それぞれの受講者が自分の都合に合ったコースを選択できるようになっている。

誰しも、なるべく早く不動産鑑定士として登録したいと考えるのは当然だが、それだけの理由で短期間コースを選んでしまうと、修了考査に合格できなくなってしまう。したがって、自分が有している実務経験や能力に合わせてコースを選択する必要がある。

この実務修習では、実務を行うために必要となる基礎知識を得るための座学の講義を受講する他、グループに分かれて行われる10日間程度の基本演習、実際に不動産の鑑定評価を行ってみる実地演習を受けることになる。

実地演習は、指導鑑定士がいる不動産鑑定業者や大学へ行って、不動産鑑定評価報告書の作成を行う演習である。

22種類の必須鑑定類型が定められており、その全ての報告書をきちんと作成することができないと、修了考査に進むことができない。

修了考査では、小論文試験と口頭試問が実施され、これに合格することができれば、不動産鑑定士として登録することができるようになる。